私事ですが、今年に入ったあたりに印刷会社から電話があり「印刷の紙が不足しているんです」とのこと。その時はなんとかやりくりしてもらったのですが、日本全国で印刷用紙の不足が深刻化しているようです。広告デザイン業界的にもこれは結構重大です。
印刷会社各社のホームページを見ても「受注停止」「受注制限」という文字が見受けられます。
この時期は年度末ということでカタログやパンフ、会社案内など印刷物の需要は増える傾向にあり、印刷会社は繁忙期でもあるようで、ますます供給不足に拍車がかかっているのかもしれません。
普通需要が減ると、モノの値段は下がるのですが。。。
ここ最近の印刷用紙不足の発端は、昨年秋に国内大手製紙会社が値上げを発表し、今年の明けから実際に値上げされたことにあるようです。
製紙各社が1月1日出荷分から印刷・情報用紙値上げへ | 日本印刷新聞社
http://nichiin.co.jp/archives/33392/
世の中的なデジタル化の進行により紙の余りが出てきていたこともあって、製紙会社は以前にも生産能力を減らしたり、値上げをしたりしていたのですが、ここにきて大規模な生産能力削減と値上げに踏み切った様子。
普通需要が減ると、モノの値段は下がるのですが。。。
値上がりの原因は色々あるようですが、例えば原油価格の高騰。
紙を製造する工程で高温高圧の蒸気を使う必要がありそのための燃料代が必要なので、石油の値段は紙の値段に影響するようです。
他には紙の原料の値上がり。
・紙の原材料は主に木材ですが、この輸入コストが上昇。
・中国で古紙需要が増えてリサイクルの原料もコストが上昇。
・加えて物流経費もコスト上昇。
・なのに紙の消費量は減少。
と、いうことで印刷用紙の製造コストの上昇を吸収しきれない、ということのようです。
結果、印刷用紙は価格が2割ほど上昇。(用紙の種類により上昇率は異なるようです)
ネットや電子カタログ、液晶ポスターも便利ですが…
これに対して、国内の印刷業界は反発しているとのこと。例えば下記。
製紙メーカー7月から印刷用紙10%値上げ|全商連[全国商工新聞]
http://www.zenshoren.or.jp/gyoshu/seizou/070827-12/070827.html
印刷原価に占める用紙の価格は大きいので、用紙代の値上げがあると、こちらもコストを吸収しきれないと。
「ペーパーレス時代」という言葉が昔流行りましたが、実際に紙の需要は減少中。
昔は電車で本や雑誌を読んでいた人も今はスマホを見ていることが多いですし。
カタログ、辞書なども紙ではなくネットで済ませたりもしていますし。
最近は「デジタルサイネージ」といって駅貼りポスターの代わりに大型液晶パネルで広告を表示していたりしますし、電車の中刷り広告も以前より減ってきています。
ネットや電子カタログ、液晶ポスターも便利ですが、実際問題としては紙のチラシやパンフ、カタログの方が便利な状況もまだまだ多いのが実情。
いちいちパソコンやタブレットを取り出さなくてもパッと取り出してパッと見てもらえて、軽くてかさばらない。紙媒体は営業ツールとしてはまだまだ高性能なのです。
広告媒体としての印刷物のコストアップは広告・デザイン業界的にも頭の痛いところではあります。
この紙不足の問題、早めに解決していただけるとありがたいのですが、根は深そうです。