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広告やWebデザインに不可欠の広角&望遠撮影の使い分け

東京湾上空旋回中の旅客機からの眺め

年末年始は旅行で飛行機に乗る方も多いと思いますが、2014年から航空法の改正により電波を発しない状態ならカメラなどの電源を切らずに済むようになりました(一部機体を除く)。つまり離陸直後の窓の外に広がる景色をカメラに収めることができるわけですね。
 
上の写真は羽田空港を離陸し、低空を東京湾上空で大きく機体を傾けながら旋回中の旅客機窓からの眺めです。
 

ズームレンズの広角側と望遠側の使い分けで、同じポストも違って見えます

というわけで、飛行機に乗って遠出すれば写真を撮る機会も増えると思いますが、今回はカメラのズームレンズの使い方について書いてみたいと思います。ズームレンズは単に広い範囲を撮るか、狭い範囲を撮るか、だけではないのです。
 
郵便ポストの広角と望遠撮影例
 
上の写真は、同じポストを撮影したものです。

左はズームレンズの広角側(ワイド側)で撮影、右は望遠側(テレ側)で撮影しました。
画面上のサイズは同じですが、印象は大きく異なります。

広角側(ワイド側)では被写体が小さく写るので近寄って撮影し、逆に望遠側(テレ側)では被写体から離れて撮影しています。こうすることで画面内での被写体(この場合はポスト)の大きさは大体同じにすることができます。

が…。

広角レンズで近くから撮影するとポストの上の方は見上げるような形となり、逆に下の方は見下ろすようになります。
そのためポスト全体の形は結構ゆがんでしまいます。このような歪みを「パース歪み」と呼びます。
この「パース歪み」のためにポストの正確な形は分かりにくくなってしまいます。
 
しかし、ど〜んという存在感というか、迫力は出せます

一方、望遠レンズを使って離れて撮影するとそのような角度の差(パース歪み)は小さくなるので、比較的正確なプロポーションで撮影することができます。カタログの写真などは大体こういう撮り方をします。
しかし少々こじんまりしてしまうというか、事務的な印象というか、迫力はあまりありません

同じポストもズームの変化で違って見えるのです。
 

広告デザインの主役の画像「メインビジュアル」には「強さ」が必要

下の写真は「広角レンズ」よりさらに広い範囲を写せる「超広角レンズ」で某建物内の吹き抜けを撮影しました。先述の「パース歪み」は盛大に発生していますが、その分迫力や広がり感は表現できているのでは?と思います。
 
超広角レンズでの撮影例
 
広告デザインでは大抵の場合、大きめの写真と見出しがどーんとあって、さらに小さく詳細情報が掲載されている、という形で構成する場合が多いのですが、この「大きめの写真」を「メインビジュアル」と呼びます(「キービジュアル」と呼ぶ場合もあります)。
 
これはホームページの場合でもチラシなどの紙媒体の広告でも同じです。売り上げにつなげる広告のデザインには「インパクト」や「強さ」がやはりある程度必要で、メインビジュアルとなる画像にも人目を惹く何かが欲しいところです。
 
先ほども少し書きましたが、望遠レンズで撮影した商品写真は比較的正確な形で撮影できる一方で、単体では「メインビジュアル」として使うには迫力不足の場合が多くあります。そのため広告の主役である「メインビジュアル」にはもっと強く、印象的な写真を使い、補助的に望遠で撮影した商品写真を配置するのが定番の使い方です。
 

望遠撮影でメインビジュアルは無理…とは言い切れない

ただしこれにも例外はあり、「望遠レンズで撮影した写真はすべて迫力がない」とも言えません。
 
例えば下の写真。
 
空港での広角撮影例
 
空港で駐機している飛行機を広角レンズで撮影しました。この場合主役は中央の飛行機で、加えて周囲の状況もわかります。しかし個々の要素が散漫で締まりがなく、迫力がある写真ではありません。記念写真としては良くても、広告用の写真としては少々厳しい。少なくとも集客ツールとして「メイン張れる」レベルではありません
(空が快晴なら多少はイメージも違うのかもしれませんが。)
 
と、いうわけで同じアングルで望遠撮影したのが下の写真。中央の飛行機をズームアップして捉えています。上の写真の中央部分だけを切り取って拡大したような構図で飛行機の両翼は画面に収まりきらず、周囲との位置関係も分かりにくくなりましたが、写真としての「強さ」はこちらの方が全然上です。
 
飛行機の望遠撮影例
 
主題の飛行機が大きく映り、望遠レンズ特有の「圧縮効果」で限られた画面内に各種要素がぎゅっと詰まっていて、広角撮影画像よりも離陸前の緊張感と迫力が表現しやすい画像となっています。
 
この例では望遠レンズで撮影した画像の方が迫力があり、広告制作で使う場合のインパクトある表現にできる可能性が高くなります。自動車広告のメインビジュアルもこういう撮り方をしている場合が多いと思います。
 
写真だけではありませんが、やはり「売れる」広告デザインにするためには、Webでもチラシでも目的に応じた適材適所の表現手法が必要なのです。
 

デザインも撮影も「段取り八分」

そのためには商品などの写真を漫然と撮影するのではなく、この商品の特長は何で、どこをどんな風にアピールしたいのか?ということをきちんとイメージしておくのがオススメです。
 
絵心のある人なら仕上がりイメーシのイラスト(カンプ画像)を描いても良いですし、雑誌やウェブから近いイメージの写真を探してきて、「こんな感じで撮影しよう」とイメージ作りをしておくと(パクリはダメですが)デザイナーとカメラマンとの間でデザインに対するイメージの共有ができやすく、その後の広告デザイン制作のワークフローはスムーズに進みます。
 
この「広告表現のイメージづくり」は実に手間がかかります。何もないところから自分のイメージを形にして行く訳ですから、試行錯誤も増えますし、下調べや情報収集であっという間に時間は過ぎます。それでもこれをきちんとやっておかないと、実際に制作し始めてから右往左往することになりかねず、余計な時間と予算を消費しますし、広告の仕上がりクオリティも、そして何より大切な集客力も下がると思われます。
 
デザインも写真撮影も「段取り八分」ということで。
 

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チラシやパンフレット、メニューなどの印刷物/ホームページの制作、運営管理/写真撮影やイラスト作成まで幅広く行っています。各種広告制作物の実績の一部を公開中です。

制作の実績