ほとんどの「フルカラー印刷」は4色のインクで印刷されています
4色の内容はいわゆる「CMYK」と言われるもの
チラシではモノクロ印刷のものも結構ありますが、やはり1色印刷では地味なので、予算が許せばカラーで印刷したい、ということも多いかと思います。特に見た目のインパクトがあるデザインの広告印刷物を作りたい時や、会社案内などの制作物ではカラー印刷を選択する場合が多いと思います。
このカラー印刷は「フルカラー印刷」と呼んだりもしますが、実はほとんどの場合、インクは4色しか使っていません。つまり、ほとんどのフルカラー印刷は「4色印刷」となります。
4色の内容はいわゆる「CMYK」と言われるもので、
シアン(Cyan) / マゼンタ(Magenta) / イエロー(Yellow) / ブラック(Black) です。
「CMYK」を日本語で言うと「藍/紅/黄/墨」となります。
一般に「藍色」というともっと紺色に近い青をイメージされる事が多いかと思いますが、
ひとまず印刷デザインではそのように呼ぶということになっております。
大雑把に「青/赤/黄/黒」と言ってしまった方がイメージしやすいかもしれませんね。
たった4色の組み合わせでほとんどのカラー印刷が可能なのはなぜ?
色の組み合わせといえば、絵の具を混ぜた時のことをイメージしていただくのが分かりやすいかなと思います。
上のイラストのように、黄色と青を混ぜると緑ができますし、黄色と赤ならオレンジ色、赤と青なら紫ですね。混ぜる絵の具の量を調節すれば黄緑や赤紫といった色もできます。
つまり青/赤/黄の3色でかなりの色が再現できるのです。
「では実際の絵の具は12色セットや24色セットなどがあるのはなんで?」
…と思われるかもしれないのですが、赤と黄色を混ぜて作るオレンジより「オレンジ色」として売られているものの方が色が鮮やかだったりするので、その辺の事情かなと思います。絵の具やインクは色を混ぜるほど鮮やかさが失われていく傾向がありますので。。。
とりあえず絵の具は3色あれば一応かなりの種類の色が作ることができます。
そして理論的には青/赤/黄を混ぜると黒になる…はずなのですが(厳密に言えば先述のシアンとマゼンタとイエローですが)実際には絵の具の発色性能の限界により真っ黒にはなりません。
そこで黒を追加して、先述のように
シアン(Cyan) / マゼンタ(Magenta) / イエロー(Yellow) / ブラック(Black)
の4色でカラー印刷を成立させている、ということになります。
印刷の場合は絵の具ではなくインクを使うわけですが、このような絵の具やインクを混色することで色彩を再現する手法を「減法混色(げんぽうこんしょく)」と呼びます。
しかし光の混色はこうはならず、赤い光と青い光を混ぜるとピンク色になります。
これは絵の具やインクが顔料が光を吸収した残りの光を反射して色を出しているのに対し、光の混色は光そのものを見ているから、ということになるのですが、この光の混色は「加法混色(かほうこんしょく)」と呼びます。
「減法混色」は引き算の混色なので色々混ぜると黒に近づいて行きますが、「加法混色」は混ぜると白になって行きます。パソコンやスマホのモニターは「加法混色」で色を表現しています。
上の方で黄色と赤を混ぜるとオレンジ色になると書きましたが、印刷に使うマゼンタとイエローを100%ずつ混ぜ合わせると「金赤」と呼ばれる色になります。(マゼンタが80%程度の場合もあります。)
詳しくは下記ブログ記事を併せてご覧ください。
夏の広告といえば赤!?「使える」実用的な「赤色」ってどんな色?
CMYKの表現力の限界を超える多色印刷は高コスト
ただし、美術書などの厳密な色彩を追求する印刷物になると やはり4色だけでは表現力不足となるため、CMYK以外の色を追加して 5色印刷、6色印刷といったものもあります。
基本のCMYKだけでは表現しきれない色彩が表現でき、デザインの自由度も上がる代わりに、印刷コストも高くなります。インクジェットプリンターでも 高性能をアピールした機種はインクが6色だったり、8色だったりしますが、 ベーシックモデルでは4色だったりするのと同じですね。
多色印刷については下記ブログ記事を併せてご覧ください。
カラー印刷は4色印刷が一般的。でも5色や6色もあるのはなぜ?