年末の繁忙期こそ力を入れたい印刷物の「校正」作業
今年もあとわずかとなって参りました。皆様年末の追い込み時期かと思います。
当事務所「グラッドワークス」のいるデザイン業界も例に漏れずお盆やお正月、ゴールデンウィークなど長期の休み期間の前には繁忙期となるのですが、やはり年末は最も忙しくなる時期。
忙しくなるとミスが発生するリスクが上昇しがちですが、そういうときこそしっかり行いたいのが「校正」作業です。
「校正」というのは簡単に言うと
・文字や文章の間違いはないか?
・色は正確に印刷されているか?
などのチェックを行うことです。
印刷物のデザイン制作の現場では「校正」という単語は頻出する単語なのですが、「構成」と読みが同じなのでチラシやパンフレットなどの「デザインをすること」や「レイアウトをすること」を「校正」と呼ぶと誤解している方がたまにおられます。
日常会話ではあまり使わない用語なので一度誤解してしまうと気付きにくい…かもしれないのですが、「校正」とは「仕上がりチェック」作業のことを言います。
デザイン制作的に重要な「文字校正」と「色校正」、2つのチェック
「校正」には種類があって、広告デザイン制作的に重要なのは
「文字校正」略して「文字校(もじこう)」と
「色校正」略して「色校(いろこう)」が一般的です。
基本的にはどちらも「校正刷り(こうせいずり)」を印刷会社さんに印刷してもらって行うものでした。
「ものでした」と過去形なのは、最近は広告制作フローのデジタル化により、「校正刷り」をしないケースが増えているから。この辺は後述します。
「校正刷り」は「ゲラ」とも言いますが、デザイン業界的にはあまり使わないかもしれません。
(どちらかというと報道系の現場で使う言葉かもしれません。)
「文字校正」とはその名のとおり、誤字、脱字がないかチェックすることです。
方法としては原稿と校正刷りを一言一句突き合わせてチェックしたり、
一人が原稿を音読して、もう一人が校正刷りをチェックするなどの方法があります。
この「文字校正」は校正刷がなくても広告制作物をプリントアウトして行えばOK。
「色校正」とは「色のチェック」です。
主に写真の色が正確に再現されているかをチェックするためのものですが、最近はデジタル化されているので、元原稿と大きく色がずれることは少なくなりました。フィルム式のカメラが主流だった頃はカラー印刷のための「色分解」という工程があり、これが微妙で繊細な職人芸の世界だったので、最終的なカラーチェックは必須のものでした。
今は色のチェックはパソコンのモニタ上で画像データの色調をチェックする方が多い状況です。
広告デザイン制作のデジタル化で「校正」作業も変化
先に少し書きましたが、印刷物の入稿と製版、印刷工程がデジタル化されたことで「校正刷り」を出すことはほとんどなくなりました。
一部の美術印刷はともかく、広告用のチラシやパンフ・カタログなどの印刷は、元データをチェックして、誤字脱字はないか、写真の色調は問題ないかなどのチェックをしっかり行って、入稿用のデザインデータをインターネットで印刷会社に送信したらあとは印刷物の納品を待つばかり、となります。
チラシなどはPDFでのチェックができる場合が多いのですが、入稿したデザイン原稿が正しいのに、確認用PDFが間違っていたということは経験的には1度もないですし。
よって2017年現在における「印刷物の校正」とは事実上、入稿前データのチェック、ということになります。
広告デザイン制作のデジタル化で「校正」作業も変化していると思われます。
年末はデザイン業界も慌ただしくてミスも出やすい時期ですが、入稿前チェックはきっちりと行ってミスなく気分良く新年を迎えたいですね。