普段何気なく見ているチラシやカタログなどの広告印刷物。デザインや写真は気にして見ていても、印刷物に使われている印刷用紙を気にしている方は少ないのではないでしょうか?(デザイン業の方は別として)
そこで今回は印刷物に使う用紙の種類と選び方の話です。
広告に使う印刷用紙。最も一般的なものは?
チラシやパンフなどの広告物に使う印刷用紙で最も一般的なのは「コート紙」だと思われます。
折込チラシなどでよく使われるツヤありの紙です。
紙の厚さは「kg」で表します。紙1枚は軽いのですが、束になると重いですよね。
一定サイズの紙を1,000枚束ねたとき(連量)の重量で紙の厚さを表します。
チラシなどで最もよく使われる印刷用紙の厚さはコート53kg〜58kgくらい。値段が安めなので。
これより薄い紙もありますが、おそらくこの厚さの使用量が突出して多いので量産効果で安いのだと思われます。
ただし50kg台の厚さでは両面印刷チラシなどでは反対側の印刷内容が若干透けて見えるので、高級感を出したければもう少し厚めの用紙を使うのがおすすめ。
よくあるのはコート90kg。このくらいになるとあまり透けませんし(光にかざしたりすれば透けますが)手にしたときの印象もしっかりした印象です。
高級車や宝飾品関係のチラシなどはこのくらいの厚さ(またはそれ以上)の紙を使っていることが多いようです。
カタログの本文用紙もこのくらいの厚さが一般的です。これより薄いと雑誌っぽくなってしまいますので。
二つ折り/三つ折りパンフやカタログ表紙の用紙について
チラシというより二つ折りのパンフレットなどに使うときの紙の厚さは、さらに厚くなって135kgくらいが一般的になります。
二つ折りパンフはそれ自体が表紙っぽい役割もするのでこのくらいの厚さがないとありがたみがないというか使いにくいというか。
なのでカタログの冊子などでも表紙の用紙はこのくらいの厚さのものにすることが多いです。
三つ折りパンフ(A4の紙を3つに折ったタイプ)では少し薄めで110kgくらいがおすすめです。
畳むとコンパクトになるので、紙の厚さも少し薄いくらいがバランスが良いのです。
二つ折りパンフや三つ折りパンフについて詳しくはこちらをご覧ください。
折りパンフレット | 広告とホームページ制作のグラッドワークス
https://gladworks.jp/recommended/recommended-a4pumph/
なお、つや消しの「マットコート」という紙もあります。
これは通常のコート紙より少しお値段高め。
その代わりしっとりとした風合いがあり、高級感があります。
マットコート紙にも色々種類がありますが、
有名なところでは「サテン金藤(さてんきんふじ)」という紙があります。
デザイン屋は「サテ金(さてきん)」と呼んだりしますが、このサテ金、バリバリのつや消しではなく程良く品のある半ツヤでインクの発色も良好。値段もそれほど高いわけでもないので会社案内とか、名刺とか、しっかりした印象の印刷物にしたい時にはとりあえずサテ金選んでおけば間違いないでしょう。
名前に反して、意外に普通っぽい印象の「上質紙」
コート紙以外の紙でよく使われるのは「上質紙」という紙があります。
「上質」というくらいだからさぞ高級感ある紙なんだろう…と思われるかもしれないのですが、その名前に反して(?)見た目はコピー用紙と大差ない…かもしれません。そんなことを言うと印刷用紙メーカーの人に怒られるかもしれないのですが、割と「普通の紙」という印象です。
カタログやパンフレットに「挨拶状」や「価格表」など、1枚もののペラの紙が挟んであったりしますが、こういうのは上質紙に印刷してあることが多いです。
なので非コート紙としてはかなりよく使われる紙です。
色付きのものもあってこれは「色上質紙」と呼ばれます。
薄めの水色や黄色、ピンク色に薄緑色など色々選べます。
会社の封筒などにもよく使われます。
上質紙の弱点としては「非コート紙」なので印刷した時のインクの発色は良くない傾向があります。吸水性の高い紙はどうしても彩度(鮮やかさ)が落ちてインクの色がくすんでしまうので、カラー印刷には不向きです。
家庭用のインクジェットプリンタでも写真用紙に印刷するのとコピー用紙に印刷したものとでは色がかなり異なると思いますが、あれと同じような感じになる傾向、といえばイメージしやすいのではないでしょうか?
フォーマル系デザインでも使われる「非コート紙」の例
では「非コート紙」は「コート紙」より劣るのか? というとそうでもなくて、高級レストランや結婚披露宴のメニューなどでは表面に凹凸(テクスチャー)のある非コート紙が使われていることがよくあります。
こういうのは「水彩用紙」と言って、例えば「ミューズコットン」や「マーメイド」など、画材屋で売っていたりする紙だったりするのですが、こういうテクスチャーのある紙はフォーマル系のデザイン制作物でもよく使われます。事務的でない温かみや優雅さを演出するのには適している紙です。
印刷用紙というのは実に様々な種類があり、他にもコート紙のツヤツヤ感を極限まで追求した「ミラーコート」や半透明の「トレーシングペーパー」、樹脂素材の合成紙など用途と予算に合わせて色々選べます。印刷会社に相談すれば用紙サンプルを送ってくれるところも結構あると思いますが、送られてきたサンプルの数が多すぎて面食らうかもしれません。
とりあえずチラシやパンフレットなど、一般的な広告用途なら「コート紙」、会社案内などちょっと高級にしたければ「サテン金藤」、ペラものの価格表などは「上質紙」あたりをチョイスしておけば宜しいかと思われます。