デザインする時、パソコンによって色が違うことがあることをご存知でしょうか?
ちょっとした色味の違いでデザインのテイストが変わってしまうこともあるので、デザイン制作業者は大抵このモニターの色調を気にします。
「パソコンの性能はほどほどでも良いが、モニターは無理してでも良いもの使え」とも言われます。
デザイン用のモニターの色調の設定(キャリブレーション)では「色温度」という言葉がよく出てきます。今回はこのモニターと色温度の関係について書いてみたいと思います。
イメージしづらい(かもしれない)「色温度」という概念
まずは「色温度」という言葉が慣れないとイメージしにくいと思うのですが、
「色の青っぽさ」を数値化したものだと思っていただければ実用上問題ないかと思われます。
つまり色温度が高いと青っぽくなり、色温度が低いとオレンジ色っぽくなります。
人間にとっては太陽の光こそが「光」の基準となりますので、日中太陽光の光の色である5,000K〜6,500Kあたりが「白い光」と認識されます。
普通、温度の単位は「℃」(摂氏の場合)なのですが、色温度の場合には「K(ケルビン)」という単位を使います(「K」には「°」は不要)この「ケルビン」という単位もまた日常生活では使わない用語なのでイメージしにくいかもしれません。
高温は限度がなくて理論上は何千度でも何億度でも何兆度でも発生させることはできるのですが、低温には物理的限界が存在します。低温の限界は摂氏で言えばマイナス273.15℃で、これ以下の低温はありません。
なぜならそれ以下は原子の振動が止まっているから(零点振動を除く)。温度の正体は原子の振動なので、振動する余地がなくなるとそれ以上は温度の下がりようがない、ということになります。
「絶対零度」と「ケルビン」
この「マイナス273.15℃」が「ゼロK」で、この温度(いわゆる「絶対零度(Absolute zero)」)を基準にして摂氏同様に温度が上がって行きます。これが「ケルビン」による温度の表記となります。
大気圧が1気圧での水の沸点(摂氏約100℃)は約373.15K。
太陽表面の温度は約6,000K。
地球表面での日中太陽光の色温度も5,000K〜6,500K程度。気象条件等により多少異なりますが。
従いましてデザイン制作する際のパソコンモニタの色温度設定もこのくらいの範囲で行います。
チラシやパンフなど、印刷物の制作をするならなら5,000Kくらい、
ウェブ関係の制作なら6,500Kくらいが基準と言われています。
パソコンモニタは大体青すぎることが多く、事務作業などをするならそれでも特に問題はないと思われますが、正確な色再現を求められるデザイン作業用としてはそのままでは厳しい。
これまでモニタの色温度調整をせずそのまま使っていた方が、デザイン用に最適とされている色温度設定にすると「ずいぶん黄色いな」と感じられるかもしれませんが…そのうち慣れます。
ただし、同じ5,000Kに設定しても実際には使用するモニターによって随分印象が変わります。モニタパネルの種類により再現できる色の範囲も多少異なりますし、絶対的な性能の差も存在しますので。。。
「どう見ても黄色すぎて逆に正確な色がわかりにくい」と思うときは印刷物制作作業用でも6,500Kくらいまで上げても良いのではないかと思います。この辺は柔軟性というか、ある程度経験値が必要な部分かもしれないのですが。
デザインチェック用のモニターも、色温度の調整をするのがおすすめです
デザインの確認をされる時もお手持ちのパソコンのモニターの色温度指定を6,000K〜6,500K程度にしてご覧いただくと、仕上がりの色に近い色でご覧頂けるかと思います。
印刷物デザインのチェックをするときは本当はモニタ色温度を5,000Kの設定にして頂いた方が「正確な色評価」をしやすくなるのですが、日頃見慣れているモニタとの色温度の差が大きすぎると目が慣れていないので逆に色の判断がしにくくなる可能性があります。
そういった事情からもデザインチェック用のパソコンモニタは色温度6,000K〜6,500K程度がおすすめです。
パソコンのカラーマネジメント機能では色温度の指定ができないこともあるので、そのような場合は別途キャリブレーションソフトを使うか、色温度設定対応のモニタを使うようにされるか、となりますが、手っ取り早く済ませるのであれば「sRGB」に設定しておくと色温度は大体6,500Kくらいになるようです。