長かったゴールデンウィークも昨日で終了。フルに休めた方は意外に少ないかもしれませんが、大型連休、楽しめましたでしょうか?個人的には山奥の滝を見て来まして、新時代「令和」の初山歩きとなりました。
それにしても連休明けで怖いのは「休みボケ」。いろいろ出歩いてお疲れの方も、新時代の幕開けにいきなりミスなどやらかさないようなんとか頑張って参りましょう。
と、いうことで今回は広告制作業者にとっては怖いミス「誤植(ごしょく)」について。
デザイン制作フローからはほぼ完全に消えた「活字」
チラシやパンフレット、カタログなどの印刷物などでたまに文字を間違えているものを目にすることがあります。デザイン業界の人は「誤植」などと呼ぶことがありますが、「誤植」という言葉は元々は印刷に活字を使っていた頃の名残りです。
今はデザイン制作フローがほぼ完全にデジタル化されているので、アナログな「活字」を使うことは、よほど特別な事情や意図がない限りまずありません。
また、コンピュータによる広告制作、いわゆる「DTP(Desk-Top Publishing)」が導入される以前の主流は「写植(しゃしょく)」といって印画紙に文字を焼き付けて文字組みを行うのが主流だったので、実際に活字を使っていたのは「そのさらに前の時代」の話になります。
ちなみに「写植」というのは「写真植字」の略で、「植字」という言葉がすでに活字時代の名残りでもあります。活字を一つ一つ版にセットして行く行為を「植える」と呼んだのですね。
制作プロセスにおいては「誤植」は製版工程のエラーということになるのですが、現在は作り手(制作者)がパソコンに入力した文字がそのまま印刷物やウェブサイトになる時代なので、正確には「誤植」というより「タイプミス」(いわゆる「タイポ」)なのですが「誤植」という言葉は今でも結構使われています。
広告印刷物で「誤植」を出さないためのチェックポイント
印刷物で怖いのは、一旦印刷してしまうと文字の間違いなどがもう修正できないところ。
パンフレットやチラシなど何10万枚も印刷してしまった後で致命的な文字間違いが発覚した(!)となると大変です。
ホームページならすぐ修正できるのですが、印刷物は印刷し直すか、修正シールを全部に手作業で貼り付けるかということになってしまいます。次善の策としては「正誤表」を添付するという手もありますが。。。
そのため印刷入稿する前に「文字校正」といって、誤植がないことをチェックする必要があります。
特に気を付けたいのは価格や電話番号など。
広告チラシなどでここが間違っているとかなりまずいので。
不動産広告などでは免許番号など、法的な厳密性が要求される部分も重点的にチェックします。
そして意外かもしれませんが、大見出しも意識してチェック。
大きく目立つ所なので間違いがあればすぐ気付きそうな部分ですが、小さい所にこだわっていると大きい所を見落とす可能性があるのです。
タイトなスケジュールで制作進行し続けていると、デザイナーもコピーライターも広告代理店の担当者の方も次第に疲労が蓄積して注意力も落ちて来て、大きなミスをやらかすリスクは増大して行きます。
デザイン的なチェック漏れを防ぐための方法いろいろ
人間の意識というのは意外に「盲点」が多くて、普段思っている以上に「見ていない」「意識していない」部分というのも多かったりします。
「意識していない」わけですから当然、それを自覚することも難しい。
で、後から
「なんでこんな大きなミスを見逃したんだ!?」
ということになったりします。
制作チーム全員が疲れて来ているときは特に危険。
そういう「盲点」からくるデザイン的なチェック漏れを避けるための方法としては
・複数の人に文字校正をしてもらう
・時間をおいてもう一度見直す
などが一般的ですが、他にも
・プリントアウトして裏から透かして見る
・上下逆さにして見る
というのも意外に有効です。
「見慣れたもの」を「見慣れないもの」に変えることで視点を強制リセットしてしまおう!ということですね。
聞いた話ではチラシなどのデザイン案をプリントアウトしたものを壁に貼って、背を向けて前に立ち、パッと振り返って見ると気づかなかったミスが見える、という広告ディレクターの方もおられるのだとか。
ともかく、「人間はミスをするものだ」ということを常に意識して、「本当に大丈夫なのか?」と執拗に疑い続けるくらいの慎重さがチラシやパンフやカタログなどの「誤植」を減らすためには必要だと思われます。
「疑い続ける」ことは常に頭を使い続けることになるので大変ではありますが、プロの仕事人として、目の前の仕事に対しては「疑り深くて執念深い(?)」くらいが宜しいかと。
ところでこのブログ記事、「誤植」やらかしてないですよね。。。