早いものでもう12月に突入して3日目となりました。
12月は皆さんお忙しいのですが、忘年会シーズンということで飲食店業界も繁忙期ですね。と、いうわけで飲食店の広告や看板デザインと色彩の関係について書いてみたいと思います。
食べ物の色と人間の色覚の深い関係
食べ物屋さんの看板や内装によく使われる色としては赤やオレンジが定番ですね。
一方で青色は全く使われないわけではありませんが少ない傾向です。
食べ物の色として青い色のものは少ないので、食欲と結びつきにくいことは誰もが直感的に感じられると思います。
つまり「食欲をそそる色」というのは「食べ物の色」である、いうことになるのですが、実は食べ物の色と人間の色覚(色を見分ける能力)とは密接な関係があると言われています。
植物が果実を作るのは鳥や動物に食べてもらってタネを遠くに運んでもらう必要があるからなのですが、果実が成熟するまでは中のタネも成熟していないのでまだ食べて欲しくない。
なので成熟すると赤や黄色に色づいて「食べごろですよ」というサインを発しているとのこと。
そもそも哺乳類は大昔(恐竜がいた頃)夜行性だったので色覚は退化している種が多く、犬や猫は色があまり見えていないらしいのですが、人類を含む霊長類はこの色覚が復活していて、それは先に書いた果実が色づいたことを見分ける必要に応じて色が見えるようになったからという説もあるのだとか。
つまり色づいた果実を見分けるために「失っていた色覚を取り戻した」ということですね。
食欲を刺激する「赤」と組み合わせる定番の色
そのようなわけで赤が食欲を刺激するのはDNAレベルでの決定事項のようなので、広告デザインとしてはこれはやはり外せない、ということでやはり食べ物屋さんがらみの看板やメニューなどは赤系統で作るのが無難。
有名牛丼店などが赤やオレンジの看板が多いのはちゃんと集客上の理由があるのですね。
こってり系のメニューの多いお店ならこれに黒を合わせるとそれらしくなります。
ラーメンとか、揚げ物関係とか。これも定番。
もう少しさっぱりさせたいときは木目を合わせるのもありかと。
こちらはお寿司屋さんとかお蕎麦屋さんとかですね。
食べ物関係のデザイン表現は「古典派」有利?
最近流行りの「フラットデザイン」は食べ物関係のデザイン表現との親和性(つまり相性)は高くないようで、少し古いデザインスタイルと思われがちな「スキューモーフィックデザイン(Skeuomorphic Design)」が飲食関係のグラフィックデザインでは未だに人気です。
「フラットデザイン」というのは読んで字のごとく平板で立体感のないデザイン、
「スキューモーフィックデザイン」というのは逆に立体感や素材感を感じさせるデザイン表現です。
昔のiPhoneの画面はボタンなど立体的な表現でこれにクロームやアルミなどの質感表現を組み合わせていましたが、iOS7から現在の立体感を配した「フラットデザイン」になりました。
「フラットデザイン」についてはこちら↓もご覧ください(過去記事)
広告デザイン的には「古典派」とも見られかねないスキューモーフィックデザインですが、食べ物関係ではいまも主流の状況。食べ物の美味しさ表現にはちょっとアナログな感じが向いているようです。なので食品のパッケージデザインもスキューモーフィックデザイン有利。これは当面変わらなさそうです。
おしゃれカフェのデザインならフラットデザインは親和性高いですが。
青系統の色は飲食店ではNGなのか?
少々脱線しましたが、ひとまず赤系統の色は食べ物屋さんのデザインでは定番である、ということですが、
では青は飲食関係に全く使えない「NGカラー」なのか?というともちろんそんなことはなくて、青や紺色はフレンチやイタリアンのお店では見かけます。フランス国旗にも青が使われていますし、地中海の青をイメージしておしゃれっぽい雰囲気作りにはできるのかなと。
ただしワンポイント的に使う方が洗練された雰囲気は出しやすいかと思います。特にコバルトブルーのような濃くて鮮やかな青を広範囲に使うとどうも食欲を抑制してしまう感じなので、使うときは慎重に扱うのがおすすめ。
青は青でも水色は少々例外で、夏のひんやりメニューのデザインにはよく使われますね。
「水色」というくらいで水を連想させる水色は食べ物との親和性も悪くありません。
ただし涼しさを感じさせるデザインとしては時期的には6月〜8月くらいの期間限定になるので短い期間限定の傾向ではあります。